近年、カメ・トカゲ・ヘビなどの爬虫類を家族として迎える方が増えてきました。無言ながらも独自の魅力を持ち、長い時間を共にした彼らとの別れはとても辛いものです。しかし、犬や猫に比べて葬儀の情報が少なく、「どう供養してあげればいいのか分からない」という声も多く聞かれます。この記事では、爬虫類が亡くなったときに行うべき葬儀方法や注意点を分かりやすくご紹介します。
まずは安置と保管の基本
爬虫類の遺体は、腐敗が遅めではありますが、できるだけ早く丁寧に安置しましょう。
- 体を軽く拭く:水分や体液が出ていれば、清潔なガーゼやタオルでやさしく拭き取ります。
- 布で包む:柔らかい布やキッチンペーパーなどで包み、箱に寝かせます。
- 保冷する:腹部を中心に保冷剤をあて、直射日光を避けて涼しい場所で保管します。
特に夏場は腐敗が早まるため、火葬・埋葬まで24時間以内を目安に行動しましょう。
爬虫類の葬儀方法:主な選択肢
① 自宅での土葬
- 私有地であれば、小型のカメやトカゲであれば埋葬が可能です。
- 30cm以上の深さを確保し、自然に還る布などで包んで土に還しましょう。
- 墓標や鉢植え、石を置いて、メモリアルスペースにする人も増えています。
注意:住宅密集地では野生動物による掘り返しや臭いの問題があるため、管理に配慮が必要です。
② ペット火葬業者による火葬
多くのペット火葬業者では、爬虫類にも対応しています。大きさに応じて料金や対応方法が異なるため、事前に確認が必要です。
- 小型種(ヒョウモントカゲモドキ、ニシキヘビのベビーなど):8,000円〜15,000円前後
- 中〜大型種(ミドリガメ、フトアゴヒゲトカゲなど):15,000円〜30,000円程度
個別火葬にすれば返骨も可能で、骨壷に納めたり、自宅供養につなげることもできます。
③ 合同火葬・納骨
返骨は不要だけど、きちんと供養してあげたいという方には、合同火葬や霊園への納骨も人気です。霊園によっては、爬虫類専用の慰霊碑を設けているところもあります。
供養の方法と心の整理
爬虫類との絆は、言葉を交わすペットとは異なる“静かなつながり”の中で築かれます。見送るときは、以下のような方法で心を込めた供養ができます。
- ミニ仏壇や写真立てで自宅供養
- 遺骨カプセルやメモリアルボックスを使ったそばに置ける供養
- 感謝の手紙を書く、日記を残すなどの内面的な整理
- 新しい命を迎えるまで、水槽・飼育設備をしばらくそのままに
注意すべき点まとめ
- 業者選び:爬虫類対応か、返骨できるかを事前確認
- 冬場でも冷却は必要:室温でも遺体は傷みます
- ペット保険加入時は死亡連絡を:保証や解約手続きが必要です
まとめ
爬虫類の葬儀や供養には明確な決まりがあるわけではありませんが、飼い主の「ありがとう」の気持ちを込めて送り出すことが、何よりの供養になります。自宅での埋葬、火葬、納骨、あるいは静かな自宅供養――どの方法も正解です。小さな命に敬意を払い、心穏やかにお別れの時間を過ごしましょう。